張利烽老師作品集への寄稿文 日本語


中华人民共和国职业资格二级/茶艺技师 登喜蓝泉雅

 ‍ 私は、20年ほど前から、中国の文化の奥深さに魅力を感じ浙江省、安徽省、上海、北京を訪ねそれぞれの地域の文化に触れてきた。その際、中国茶の美味しさに触れ、現在のストレスの多い社会において、茶の薬効、茶の香りによるアロマ的な作用が人々の心を癒すのに役立つのではないかと関心を持った。そして、せっかく勉強するのだから本場で本格的にその道のスペシャリストのから学びたいと思い、浙江省杭州にある中国国際茶
文化研究会に赴き主任教授の姚国坤先生に理論をまた茶芸技術を張莉穎老師により指導を受け中華人民共和国職業資格五級・四級/初級・中級茶芸師を修得した。

 

‍ その後、日本において中国茶の講師をし、中国茶の普及と中国の先生方との文化交流につとめながら、数年をかけ北京に数度勉強に行き、中国国際文化交流東方国芸の熊志恵先生のご指導により、中国政府認定茶芸師資格高級、技師の資格を修得することができた。

 

‍ 現在も日本で朝日新聞社、読売新聞社主宰の中国茶の教室を運営している。また、日本と中国の文化の交流を目指し、社団法人日中青少年交流協会の理事をしているので、今後日中の青少年の文化交流にも力を注いで行きたいと考えている。

 

‍ これまでお茶のもたらす縁によって、様々なと知り合えて大変感謝している。

‍ 今回もまた張先生と先生の素晴しい作品にであうことができたのも、お茶の導きによるものである。

 

‍ 経緯は以下のようである。

‍ 2010年6月 以前よりの念願である中国茶のルーツである茶葉古道を旅するため、日本の横浜を出発した。娘の留学先であった北京を経由しシーサンパンナ、麗江、大理と、1ヶ月かけて雲南省を旅し、7月20日、私と娘は最終目的地である昆明で素晴しい芸術家に出会うことができた。茶人である昆明の先生から張利烽先生を紹介されたのである。そして、張先生のアトリエを訪問させていただき、先生の作品を拝見する機会を得た。私は一目で先生の作品が気に入った。

 

‍ また、張先生は、穏やかで温かい人柄の方であり、それは先生の作品にそのまま現れていた。先生の作品を鑑賞された方は、誰もが心和み、穏やかな、温かな気持ちになれる先生の作品は日常で疲れた人々の心に安静をもたらすことができるのである。これはよいお茶を飲んだときにも同じである。心が解き放たれるのである。

 

‍ 具体的には、線と線との対比の素晴しさがあげられる。

‍ 温かみのある柔らかな線で描かれた人物は、柔和にまるで菩薩のように表現されており、対して、迫力ある流動線で描かれている自然の様は、まるで自分がそこに存在し自らの五感に風・光・色彩・香りを感じ取ることができるかのような臨場感をあたえる。

‍ 加えて、艶やかで光沢感のある色彩使いにより、春の梅の桃色、秋の柿の実の朱、竹林の黒などが、豊かに表現され、画面を引き締めているようでもある。先生の自然への敬意と、先生が心から自然を愛しんでおられることが感じられる。

 

‍ 人物の表情の柔らかさがなんともいえず楽しく、作品に愛情が沸きかわいらしくも感じる。作品を身近に置き、日常的に観賞したくなる。

‍ かたわらに描かれている茶壷からは、今にもお湯が沸きたちそうで、お湯の沸く音が聞こえ、茶の香りがただようようで、自然の中で、お茶を楽しむ、幸せな気持ちを思い出させてくれる。五感を呼び覚ましてくれる。

 

‍ 日本で中国茶を教えているわたしは、先生の作品を鑑賞していると思わずお茶を淹れてみたくてたまらなくなる。そして、一つ一つの作品の中の茶壷のお茶はどんなお茶であろうかと想像する。秋を感じさせる作品には福建省の岩茶、とくに重厚感のある鉄羅漢があうのではないだろうか。春たけなわといった作品には九曲紅梅という爽やかな香りの紅茶はどうであろう、というように。

 

‍ お茶は五感で楽しむものである。そこには、音楽も聞こえてくる。張利烽先生の作品からは、古琴、二胡という楽器の音色までもが聞こえてくるようである。そしてお茶の香り、味、といった嗅覚、味覚、までもがとぎすまされてくるようでもある。心が軽くなり先生の作品中の人物にように、微笑がこぼれてくる。なんとも言いようのない幸福感に心が満たされる。

 

‍ 張先生の作品を鑑賞しながらの中国茶会を日本で是非実現させたいものである。

‍ 場所は歴史のある日本庭園が良いと思う。

 

‍ また、わたしは、中国茶の自由な明るさを素晴しいと思う。これは張先生の作品と共通していると思う。

 

‍ 多くの先生にお茶について教えていただいたが、皆様の教えの根底には、ある同じことがいえると思う。お茶は心で淹れるもの、心で楽しむものであるということである。

 

‍ まさに 張先生の作品から感じられるのは、これらの先生のお考えと同じもではないだろうか。思いやりの心。自分を、友人を、家族を、周囲の人を愛し、思う心が温かい表現となり作品から伝わり、見るものの心を浄化させるのだから。

 

‍ 張利烽先生の新しい作品集が出版されるということで大変楽しみにしています。これからも先生の作品により、人々の心を和ませて差し上げていただきたいと思います。

‍ 今後のご活躍ご発展をお祈り申し上げます。